河内ひとみのあらかわ日和

2015年1月11日 2015年1月11日
斉藤ゆうこの区議会レポート 2015年新年号
頌春
 新しい年を迎え、皆様いかがお過ごしでしょうか。旧年中はあたたかいご支援をいただき、本当にありがとうございました。
 さて、総選挙を経て、4月は区議会選挙です。「園庭なし、プールもなし」の保育園が再開発ビルの中に出現。二度の入札不調を経て、58億円の工事契約となった荒川2丁目複合施設。三河島と西日暮里の再開発は本当にやるのか…など区政は課題山積です。「なんでも賛成」の議会なら区長だけ居れば良い、ということになります。政府のやることも荒川区民には逆風ばかりのようで…。2・3面に「なんとかしなきゃ、この政治」を書きました。ご意見をお寄せください。
 地域政治団体「あらかわ元気クラブ」は、おかげさまで昨年、発足20周年を迎えました。ふり返ると、この20年、弱肉強食の経済と政治が猛威をふるい、わが町・荒川区は景気が落ち込み、元気をなくす人も増えました。そして、敗戦から70年となる日本は、独立国かどうかさえアヤシくなってきました。
 こんな世相の中で20年の節目を迎え、私は気持ちも新たに《生きられる町、暮らせる政治。》のために闘い続けたいと決意しています。皆様の期待を裏切ることなく、《既成政党にかわる区民の代表》の役目を果たしていきますので、今後ともご支援ください。
 まだまだ厳しい寒さがつづきますが、どうぞお元気で暖かい春をお迎えください。

2015年1月

あらかわ元気クラブ区議会議員 斉藤ゆうこ


荒川区議会議員 斉藤ゆうこプロフィール

ゆうこのひとりごと
●沖縄県知事選、オナガさんの集会で故・菅原文太さんの最後の演説を聞いた。「沖縄は何度来てもいいねえ」と始まり、「政治の役割は2つ。1つは国民を飢えさせないこと、安全な食べ物を食べさせること。もう1つは絶対に戦争をしないこと」。「…辺野古を勝手に他国に売り飛ばさないでくれ。そうは言ってもアメリカにも良心厚い人々はいる。中国にも韓国にも香港にも。国は違え同じ人間だ。皆手を結び合おうよ。オナガさんはきっとそのことを実行してくれると信じている」。いい演説だった。
●「お正月に読みたい本」を3冊おすすめ。富岡幸雄氏の『税金を払わない巨大企業』は2面で紹介した。岩本沙弓氏の『アメリカは日本の消費税を許さないー通貨戦争で読み解く世界経済』は、税制の師匠・湖東京至先生から昨年1月に頂き、目からウロコだった。岩本さんが「米国の報復だ」というTPP反対の急先鋒・鈴木宣弘氏の『食の戦争―米国の罠に落ちる日本』は「今だけ、カネだけ、自分だけ」の世相に警鐘を鳴らす。いずれも文春新書。
●1987年、日本は国民ひとり当たりの名目GDPでアメリカを追い越して世界一になった。でも、2000年には逆転され、2006年にはドイツにも追い越されて今や世界24位。国家財政は赤字がかさみ、世界一の借金大国となった。
●いったい全体、国民が働いて生み出した税は、どこに消えたのだろうか。答えは「アメリカへの富の移転」だ。1991年の冷戦終焉の頃から、衰退したアメリカは通商、金融、通貨などで日本に激しく負担を迫り、覇権維持の世界戦略を練ってきた。わが国の歴代政権は政権維持のため甘んじて受け入れてきたが、もう限界ではないか。
●敗戦から70年。子どもたち、孫たちのために、私たちも『自己決定権』を行使したい新年だ。

何とかしなくちゃ、この政治。
外形標準課税は中小企業をつぶす
 消費税と並ぶもう1つの「付加価値税」=外形標準課税の適用拡大がくわだてられています。
 政府は「法人税率引き下げ」を来年度から実施するための協議を始めましたが、その穴埋め財源として、2004年(平成16年)から資本金1億円超の大企業に適用されてきた外形標準課税(法人事業税)を赤字の中小企業にも拡大しようというのです。
 しかし…日本の法人税はそんなに高いの?「法人税の引き下げ」は本当に必要なんでしょうか?

■巨大企業は法定の税を払っていない
 中央大学名誉教授の富岡幸雄税理士は、いま注目の『税金を払わない巨大企業』(文春新書)で「そもそも大企業は法定税率どおり法人税を払っていない」と指摘しています。
 日本の法人税実効税率は35.64%。これは国税の「法人税」だけでなく、地方税の「法人住民税」と「法人事業税」を合わせた数字で、諸外国と比べて特に高いわけではない…と前置きし、「大企業が法定税率どおり法人税を払えば、法人税の引き下げなど全く不必要である」と主張しています。そして巨大企業が抱える専門家が数々の優遇制度を巧みに使って課税所得を低くし、法定どおりの法人税を払わず、時にはゼロになる実態を詳しく書いています。
 かつて不良債権を抱えて国民の税金で救済されたメガバンクは繰越欠損金制度で莫大な利益を上げましたが、2011年度の法改正で繰越できる期間が9年に延長され、日本航空は2018年まで法人税を払わなくて良くなりました。
 安倍内閣はこうした実態には全く手をつけず、大企業の要求どおり、「2015年度から数年以内に20%台に引き下げる」と方針に盛り込みました。

■引き換えに中小企業を犠牲にするのか
 外形標準課税が赤字の中小企業にも課税されれば、中小企業には耐え難い増税となります。「中小企業は赤字をよそおって税金逃れする」な~んて言うヒトがいますが、今では銀行の融資が不利になるため、わざと赤字決算にするような中小企業はなく、むしろ苦しい実態を隠して黒字をよそおうのが常。3年以上赤字を計上している中小企業は2割に過ぎません。
 その上、この税は賃金にも課税するため、雇用に影響が及びます。労働集約型の中小企業では、赤字企業はもちろん、黒字企業でも税負担が激増するので、たまったものではありません。政府税調では「赤字の中小企業には『退場』してもらう」との主張がまかり通り、「赤字中小企業悪玉論」になっているとのこと。「退場」ってなによ(怒)。
 政府は昨年11月、消費税10%と同様「見送り」を表明しましたが、決してこのくわだてが消えた訳ではありません。そこで…
  巨大企業が法定税率どおり法人税を納めていない実態を知っているか。 区内の中小事業者への影響をどう考えるか。安倍内閣が総選挙に勝ち、これが実行されれば荒川区の産業振興策に逆行する。国に中止を進言するべきではないか。…と質問しました。

【石原産業経済部長 答弁】
 国税庁の調査によれば、欠損法人は資本金1億円を超える大企業の約34%を占める。法人税においては、繰越欠損金制度のほか、受取配当金益金不算入や各種の租税特別措置法等で課税所得を減額することにより、税負担を軽減しているものと承知している。
 区内の法人企業の約99%は資本金1億円以下の中小企業が占めており、外形標準課税の適用範囲が拡大されることとなった場合には、景気回復がいまだ十分ではない中、区内中小企業に大きな影響が生じると認識している。こうした地域の中小企業の実情について、必要に応じ、国や都に対して申し入れてまいりたい。

 企業数の99%を占め、雇用の70%を担う中小企業は日本経済の要であり、地域経済の中心です。日本の経済そのものを滅ぼす安倍内閣、決して長くは続かないでしょう。

実効税負担率の低い大企業1~10位(2013年3月期)
富岡幸雄著『税金を払わない巨大企業』43頁より転載(単位百万円)

社 名 税引前純利 法人税等 実効税負担率
1 三井住友FG 147,985 3 0.002 %
2 ソフトバンク 78,885 5 0.006 %
3 みずほFG 41,897 226 0.09 %
4 三菱UFJFG 88,699 577 0.31 %
5 みずほコーポレート銀行 57,773 6,714 2.60 %
6 みずほ銀行 63,198 8,980 3.41 %
7 ファーストリテイリング(ユニクロ) 75,653 5,233 6.92 %
8 オリックス(連結) 72,518 21,001 12.17 %
9 三菱東京UFJ銀行 77,468 109,342 12.46 %
10 キリンHD 95,940 11,995 12.50 %

介護保険の改正で制度の崩壊がすすむ
 今年の改正は介護保険制度の根幹を揺るがしそうです。導入から14年、介護を税でまかなうのか、保険制度をつくるのかと議論があった中、財政削減の必要性から現在の保険制度が導入されました。私は当初から保険制度での導入に反対でしたが、ついに「保険料が高くて払えない」「払っているのに介護の対象から外される」という深刻な事態になりました。すべてを民間に任せるこの制度は限界にきたようです。
 大きな問題のひとつは介護職員の処遇改善です。全国には約160万人の介護に関わる職員がいますが、全産業の平均を10 万円前後下回る賃金実態です。国の処遇改善交付金はうまく機能せず、ヘルパー職の人たちが低賃金と重労働に耐えかねて大量に介護業界から去ったと言われます。
 「専門的な職業として育成する」とうたわれたのに、ヘルパーさんたちは、結局は安い賃金で働く労働者の代名詞みたいになってきました。『感情労働としての介護労働』(吉田輝美 著)と言われる難しい仕事の責任を担う職業として、賃金や労働時間の問題を解決していく必要があります。
 そこで保険者である区に質問しました。
 荒川区内の介護職員、とくに訪問介護ヘルパーの賃金実態を調査し、国に処遇改善を進言せよ。 公費の割合を増やし、制度の変更を国に求める考えはないのか、区長に問う。

【谷嶋福祉部長 答弁】
 介護職員をいかに確保するかは全国的に喫緊の課題であり、そのためには、さらなる処遇改善を行う必要があると認識している。現在、国は平成27年4月の報酬改定を準備しており、引き続き必要な要望を行うとともに、介護職員処遇改善加算の効果について実態把握の方法を含め検討していく。

ひろがる東京と地方の格差
 2005年以降、日本は長期の人口減少時代に入ったと言われます。32 道府県で人口が減少し、増加する地域はわずか7 都道府県。人口が1 万人未満となって消滅する自治体が523あると発表されて衝撃が走りました。
 この背景には世界的な企業競争の激化があります。米ソ冷戦崩壊以降の経済のグローバル化、企業の国際競争力強化のための激しいコスト競争は、国内の労働者の非正規化と低賃金を生み、安い労働力と成長市場を求める企業の海外移転が急速に進みました。こうしておきた地方の企業閉鎖や撤退が雇用の場をなくし、若者の大都市への流出が進んだ結果、地方の地域経済は衰退し、人口減少の大きな要因となったのです。
 2008年のリーマンショック以降、その速度はさらに強まりました。安倍政権になり、日銀の量的緩和による株高・円安で大銀行や大企業や資産家が莫大な富を得る一方、ほとんどの中小企業や国民は円安による原材料高騰と消費税増税で、物価高、実質賃金の目減りという大きな打撃をこうむりました。
 東京一極集中と衰退する地方との格差はさらに拡大、農林水産業の衰退で地域経済は崩壊の危機にさらされています。産業構造が地域の盛衰を大きく左右することがはっきりとわかります
 こうした国の政策こそが『地方創生』を妨げてきた。政策を改めさせるため、打開を訴える町村会や町村議長会と連携すべきだ、と質問しました。

【西川区長 答弁】
 地方自治の根幹をゆるがす法人住民税の一部国税化に反論し、地方の権限に見合った財源の拡充という本質的な問題に取り組むよう、あらゆる機会を通じて国に要請を実施してきた。今後も引き続き強く主張していく。

買い物客で賑わう日暮里繊維街で

■買い物客で賑わうにっぽり繊維街で

決算委員会で質疑しました。

■総括質疑

 にっぽり繊維街の区民事務所
  建替えの施設内容と時期は?

 単なる区民事務所建替えでは
  なく、地域と産業活性化のた
  めの施設をつくる。今年度の
  早いうちに計画を策定する。

 東尾久本町通りのふれあい館
  建設に向けた進捗状況は?

 計画地内(児童公園側)で区
  への売却の意向が示された。
  隣接する土地についても精力
  的に交渉を進めていく。

■選挙費
・松島みどり法務大臣のうちわ配
 布は公職選挙法違反ではないか。

■民生費
・学童クラブ夏休み給食の実施
・介護保険料が高い理由は?公費
 投入で制度の抜本的な変更を

■環境清掃費
・清掃車の民間職員の殺人未遂事
 件、偽装請負いの禁止について

■産業経済費
・西日暮里のフジ美術印刷子会社
 の偽装倒産・解雇事件で都労委
 が和解を勧告した。区の対応は?

■教育費
・教育委員会は問題のある再任用
 校長の契約打ち切りをなぜ決断
 しないのか。

■外郭団体調査
・土地開発公社への高い銀行金利

あらかわ元気クラブ20周年を祝う会

皆さんのお手紙から
●20周年おめでとうございます!こちらも負けずにガンバリます。南千住・商店主Y
●いつもの通り困った人の立場になり、問題解決に進んで下さい。東日暮里・自営業N
●いつもお世話になっております。元気クラブが30年、40年と続くことを祈念申し上げます。東尾久・T
●いつもニュースを楽しみにしております。10月20日の毎日新聞夕刊特集ワイド読みましたよ。ウチワ、即「ヘン」と思ったのはさすがです。自分のためだけの選挙をやっている政治家はそれだけでアウト。体調に気をつけて頑張ってください。西日暮里・主婦A
●元気クラブの活動を応援しています。正しい区政のため頑張ってください。松島氏の件は「荒川区選出」とテレビに出るたび、恥ずかしい思いがしました。残念なことです。西尾久・М
●20周年おめでとうございます。小さなカラダで弱小の地域企業とそこに働く方たちのために頑張っておられるゆうこさんに心からエールを送ります。東日暮里・М
●20年以上続いているのは、自民、公明、共産、元気クラブ。あの頃君は若かった。元水道局職員・A
●お元気でご活躍のご様子は毎号のおたよりで拝見、心強く、うれしく存じます。商店街、中小小売商の困難な状況は続いていますが、地域の発展、庶民の暮らしを守るため、ますますのご健闘を祈ります。元日本専門店会連盟理事長 田中利夫
●アベノミクス、破れたり!! 元荒川区職員・N
●20年、もうそんなになるんですね。ゆうこさんと初めてお会いした頃を思い出しました。大変親身に私たちの話を聞いてくれましたね。働く母親が当たり前の今、保育園、学童クラブを充実させるのは行政の義務です。夏休み給食はもちろん、あらゆる事を細かくみて、親が安心して預けられる保育園、学童クラブであるように、しっかり区の方に言ってくださいね。私たちの代表としてキッパリ言ってくれるのは元気クラブしかないと思っています。これからも精一杯応援させていただきます。ゆうこさん、あと20 年は行けるでしょう!?町屋・K
●孤軍奮闘の大活躍、20周年おめでとう。応援してます。東尾久・N
●長い道のりの労苦に敬服いたします。「不動の信念が時代を変える」。30周年、40周年に向け、人の心に共鳴する地域政党として更なる発展を。●●党前区議Q
●ゆうこさん、日本のため、世界のため、オカシイと思う所はトコトン突きとめて、世の中が平和に皆が明るく、生きがいのある生活が送って行けるように、これからも頑張ってください。東日暮里・小売業T
●フジビ闘争も3年目となり、解決に向けて動き出しています。この問題を区議会で取り上げていただいたことも大きく影響していると思われます。区内から再びこのような事態を起こさないためにも、勝利解決をめざして闘います。フジビ労働組合
●国会では足の引っ張り合いで重大な問題が置き去り。地方議会の方がしっかりしていると思わせるように努力してください。荒川・C

「オール沖縄」はなぜ勝ったのか。米軍基地に支配される未来を拒否し国のあり方を問う『島ぐるみ会議』
一昨年一月、政府への建白書を携えて上京した「オール沖縄」の人々。

■一昨年一月、政府への建白書を携えて上京した「オール沖縄」の人々。
中央は玉城県議、右端にオナガ現知事

 沖縄県知事選は自民党県連が分裂し、オナガ雄志知事が10万票の大差で仲井真前知事を破った。直後の総選挙では、4つの全選挙区でオナガ新知事と連携する「オール沖縄」の候補が自民党公認候補を破り、当選した。
 歴史的な勝利の背景はなにか。オナガ知事とともに「オール沖縄」を推進してきた沖縄県議会の玉城義和県議が、11月28日の講演会で語った。玉城県議は「突然の解散総選挙で公示日直前となった中、本日参加された心ある皆さんに感謝を申し上げる」と前置きして講演に入った。以下、東京のマスコミが伝えない当事者の報告を紹介する。

■選挙運動から県民運動に変わった知事選
 今回の知事選は沖縄の30年、50年の展望を拓くものだ。オナガさんは県議会の同期生で、自民党の保守本流だ。名護市長を除いて県内の市長のほとんどが仲井真知事につく中、宮古・八重山を除いて全市でオナガ氏が勝ち、10万票の大差をつけた。
 市町村長がどうだろうが大衆がそれを超え、色んな人たちの思惑を超えていった。「県民の方が先を行く」形だ。スタジアムに10000人の予定が15000人近く集まったことで、私は『選挙運動から県民運動に変わった』という印象を持った。そういう流れが今回の選挙にはあった。1968年の首席公選で屋良朝苗さんが当選したことに匹敵する歴史に残る選挙であった。

■「自主(自己)決定権」の歴史的背景
 オナガさんが知事選で使った言葉を紹介し、その背景を話したい。これまで沖縄の選挙と言えば『保守』と『革新』が激しく争ってきた。オナガさんは「(沖縄のような)小さいものがお互いに喧嘩していては(日米政府という)大きいものには勝てない」と常に言ってきた。
 琉球国は1609年に薩摩に侵攻され、尚寧王は「島津への御恩は子々孫々まで…」と
書かされた。その後の1872年の琉球処分、沖縄戦、米軍占領と続く歴史を考えると、「自己(自主)決定権」という言葉は昨日今日のことではなく、沖縄の歴史にさかのぼる問題だと言える。

■「誇りと尊厳」「イデオロギーよりアイデンティティ」を共有した県民
 『誇りと尊厳』とは、拒否しても拒否しても押し付けてくる日米政府に対する沖縄県民の気持ちだ。オナガさんは勝って「オメデトウ」と言われるより「アリガトウ」と言われた。「良く勝ってくれた」ということだ。
 石破幹事長が国会議員5人を無理やり力で説き伏せて記者会見した写真は、県民に何百年か前の琉球処分を思い起こさせた。仲井真知事はわずかな振興策の予算をもらって「驚くべき内容」だの「いい正月が迎えられる」だの言った。保守的な人も革新的な人も、共通して仲井真さんに対する許しがたい屈辱感を持った。そこでこの言葉が出てきた。
 『イデオロギーよりアイデンティティ』もよく使われた。1609年から連綿と続く「自分たちのことを自分たちで決められない」という歴史的な事実の共有…それが沖縄のアイデンティティだ。イデオロギーで対立し、基地を挟んで一方は「平和」だ「人権」だ、と言い、もう片方は「いや経済が大事だ」となれば、国にとっては好都合で「大いに争っていてくれ」となる。
 個人的には「~より~」と順序を付けることではないと思うが、要するにイデオロギーは残しつつもアイデンティティでまとまることが重要、ということだ。これを国家に置き換えたらどうなるのか。みんなで考えてみたら良いと思う。

■「基地は沖縄経済の最大の阻害要因」という事実
 なぜ保守、革新を超える動きが出て来たのか。それは基地が返還された方が経済発展に有効だということが事実で示されたからだ。
 普天間飛行場で働く労働者は200名に過ぎない。だが、返還されれば何千という雇用を生み出せる。経済効果は年間9150億円と試算され、現在の2.2倍程になる。基地が経済振興の妨げになっているということだ。 
 基地収入が県民所得に占める割合は1972年(本土復帰の年)が16%、現在は5%しかない。沖縄経済界の人々のオナガ支持もここから来ている。(※表)

■日米安保条約は「生活」の問題。
 沖縄から全国へ闘いを拡げる。

 1995年の米兵による少女暴行事件以来、何度も超党派の県民大会を経験したが、「一日共闘」だった。オナガさんと私の持続的な県民共闘への思いが『島ぐるみ会議』につながった。昨日も事務局会議で協議したが、相手はアメリカと日本政府…強大な権力だ。
 国内世論がなかなか盛り上がらないので、全国の各市町村議員や団体に沖縄から直接訴えたい。今日のような講演会も必要だ。『島ぐるみ会議』には多様な県民が結集している。全国に派遣するので受け入れてほしい。
 小さな沖縄がいくら叫んでも、国民世論が湧かないと打開できない。総選挙の争点にもなかなか上がらない。
 我々は日米地位協定と安保条約を抜きに政治を語れない。金網の向こうは米軍基地だ。安保条約はかつての米国かソ連かの体制選択論ではなく、生活の問題だ。
 今回の知事選が意味するものは、第一の敗者は仲井真氏だが、第二の敗者は安倍内閣だということだ。辺野古の現地は毎日座り込みが続く。この現地と、知事の政治と、県民運動と、3つが一緒にならないと勝てない。
 日本政府とアメリカという強大な国家との対峙は細々した行政的なことではダメで、大戦略なしにはできない。『茨の道を行く』とオナガ知事は言った。10万票の沖縄県民の総意、新しい知事を東京の皆さんに受け入れてほしい。
(ご希望の方にこの講演会のDVDを頒布します。ご連絡ください)

■基地収入と県民所得等の比較

県民総所得 3兆9000億円 基地収入2000億円 (5%)
1㎢あたりの平均的土地生産性 16億円 基地 9 億円
基地収入 2000億円 軍用地     800億円
基地従業員給与500億円
(すべて日本側負担)

■基地返還前と返還後の雇用の比較

返還前 雇用 返還後 雇用 比較
ハンビー飛行場 100人 北谷ハンビー 2259人 22倍
メイモス射撃場 アメリカンビレッジ 3563人
牧港米軍住宅地 196人 那覇新都心 7168人 36倍
天願通信所 4人 うるま市役所周辺 2431人 607倍
泡瀬通信所 86人 沖縄市泡瀬地区 3257人 38倍
那覇空軍海軍補助施設跡地 470人 那覇市小録金城区 6769人 14倍

金網の向こうに演習する米軍車両。名護市辺野古のキャンプシュワブで

■金網の向こうに演習する米軍車両。
名護市辺野古のキャンプシュワブで

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